働きながら転職活動ができないと感じても、応募総数ではなく「同時進行数」と使える時間を整えれば、現実的に進められます。
こんにちは!転職アドバイザーの夏目結衣です。毎日遅くまでの残業や、しんどい人間関係…本当にお疲れ様です。私もかつて「このままでいいのかな」と悩みながら、限界まで無理をして働いていた時期があるので、そのモヤモヤ痛いほどわかります。このブログでは、キレイごと抜きのリアルな葛藤や、エージェント業界のぶっちゃけ話も交えながら、あなたが自分らしい働き方を見つけるためのヒントを親身にお届けしますね!
「仕事が終わったら何もする気力がない」「休日に求人を見るだけで一日が終わる」「平日に面接時間を作れない」という悩みは、決して珍しいものではありません。
2026年の調査でも、転職活動経験者の多くが仕事との両立に苦労し、業務の忙しさを理由に活動を中断した人も半数を超えています。
大切なのは、「転職活動ができない=転職への本気度が低い」と考えないことです。働きながら転職する場合は、仕事を続けるための時間と体力を残しつつ活動する必要があるため、退職後の転職活動とはそもそも使えるリソースが違います。
この記事では、働きながら転職活動するのが無理・難しいと感じる原因から、時間がない人でも続けやすい進め方、応募数や面接日程の考え方、在職中と退職後の違いまで詳しく整理します。
働きながら転職活動できない?2026年調査で見えた現実
結論からいうと、「働きながら転職活動するのが難しい」と感じるのは、あなた一人ではありません。
レバレジーズ株式会社が運営するAI人事プラットフォーム「NALYSYS」は、2026年7月8日、直近3年以内に正社員として転職活動をした経験がある515名を対象とした「AI時代の転職活動に関する調査」を公表しました。
調査では、転職活動時に78.6%が企業に在籍していたと回答しています。
さらに、転職活動で苦労した経験について「非常にある」が39.6%、「ややある」が42.7%。合わせて8割を超える人が、何らかの苦労を感じていました。
具体的な負担では、「履歴書・職務経歴書を作成する時間や手間がかかる」が55.4%、「当時の在籍企業の業務が忙しく、面接時間の確保や調整が難しい」が42.7%でした。
さらに注目したいのが、仕事が忙しいため転職活動を一時的に中断した経験です。
「何度もある」が30.6%、「1~2回程度ある」が25.7%で、合計56.3%。面接日程が合わず、その企業の選考を辞退した経験がある人も29.9%でした。
つまり、「仕事をしながら転職活動できない」と感じる原因を、単純に本人のやる気不足で説明するのは無理があります。
転職したい原因になっている仕事が、転職するための時間まで奪ってしまう。
これが在職中の転職活動で起こりやすい構造的な難しさです。
もう一つ参考になるのが、マイナビ転職が転職活動経験者774名を対象に行ったアンケートです。
2025年5月20日~26日に実施されたこの調査では、74.8%が「在職中に転職活動をしたことがある」と回答しました。
以前の記事で紹介されることが多いのが、エン・ジャパン株式会社が2018年11月8日に公表した『エン転職』利用者10,663名への調査で、86%が「在職中に転職活動を行なう」と回答したという数字です。
ただし、2018年の調査と2025~2026年の調査では、対象者や質問方法が異なります。数字をそのまま比較して「在職中転職が増えた・減った」と判断することはできません。
大切なのは、最近の調査を見ても、働きながら転職活動する人は多数派である一方、両立に苦労する人も非常に多いという点です。
「みんな在職中にやっているなら、自分も毎晩頑張らなければ」と考える必要はありません。
むしろ私は、「できる人の活動量」に自分を合わせるのではなく、自分が今使える時間に転職活動を合わせることが重要だと考えています。
在職中の転職活動で必要なのは、気合いで活動時間を増やすことではありません。「どこまでなら続けられるか」を先に決めることです。
働きながら転職活動する時間がない・無理と感じる4つの原因
働きながら転職活動が無理だと感じる原因は、大きく分けると時間、体力、日程調整、判断量の4つです。
特に初めての転職では、求人検索、自己分析、書類作成、応募、企業研究、面接対策を一気に始めようとしてしまいがちです。
けれど、これらはそれぞれ別の作業です。一度に全部やろうとすれば、毎日仕事をしている人ほど続かなくなるのは自然なことなんです。
仕事後に時間と体力が残っていない
一番分かりやすい壁は、仕事が終わった時点ですでに疲れていることです。
求人を探すだけならスマートフォンでもできますが、実際の転職活動では履歴書・職務経歴書の作成、求人比較、企業研究、応募、メール返信、面接対策まで発生します。
2026年のNALYSYS調査でも、転職活動で苦労した内容の1位は、履歴書・職務経歴書の作成にかかる時間や手間でした。
私自身も激務の職場で転職を考えていたころ、帰宅して求人サイトを開いたのに、数件眺めただけで閉じてしまうことがありました。
当時は「本気で転職したいなら、もっとやらなきゃ」と自分を責めていましたが、今振り返ると、仕事ですでに集中力を使い切った夜に重要なキャリア判断を重ねようとしていたんですよね。
ここで知っておいてほしいのは、転職活動で消費するのは時間だけではないということです。
「この求人へ応募するか」「年収と残業時間のどちらを優先するか」「職務経歴書のどこを直すか」と、細かな意思決定が次々に発生します。
そのため、忙しい人には時間管理だけでなく「判断回数の管理」も必要だと私は考えています。
例えば、帰宅後に30分空いていても「求人検索→比較→応募判断→志望動機作成」まで行えば、かなり頭を使います。
反対に、「今日は気になる求人を3件保存するだけ」と決めておけば、同じ30分でも負担は大きく変わります。
平日に面接時間を作れない
二つ目が面接の日程です。
2026年のNALYSYS調査では、42.7%が「在籍企業の業務が忙しく、面接時間の確保や調整が難しい」ことを転職活動の苦労として挙げ、29.9%には日程が合わず選考を辞退した経験がありました。
これはかなり重い数字だと思います。
せっかく書類選考を通過しても、仕事を抜けられなければ次へ進めないからです。
オンライン面接や終業後の面接に対応する企業もありますが、すべての企業が応募者の希望時間に合わせてくれるわけではありません。
特に選考が進み、担当者だけでなく役職者や複数部門が参加する面接になるほど、応募者側だけの都合で時間を決めるのは難しくなる場合があります。
だからこそ、「面接が入ってから予定を考える」のではなく、応募前から面接に使える時間帯を把握しておくことが大切になります。
「平日は無理」と一括りにせず、勤務前、昼休み、終業後、半休を取れる曜日などに分けて確認すると、意外と候補時間が見つかることもあります。
応募数を増やしすぎて管理できなくなる
三つ目は、焦って応募先を増やしすぎることです。
dodaが2026年5月25日に公開したデータでは、2025年4月~2026年3月にdodaエージェントサービスを利用して内定を得た人の平均応募社数は31.9社でした。
94.9%が2社以上、66.4%が11社以上に応募しています。
さらにdodaは、同期間の書類通過率と一次面接通過率から試算し、数字上の目安として「1社以上の内定を得るには5社の面接、そのためには27社への応募が必要」と説明しています。
ここは以前の記事より明確にしておきたいところです。
27社という数字は私や編集部が独自計算したものではなく、dodaが同社データを基に示している試算です。
ただし、31.9社は「31社を同じ週に管理する」という意味ではありません。
転職活動を始めてから内定までの応募総数です。
忙しい会社員がこの数字だけを見て、一気に20社、30社へ応募すると、企業研究、メール返信、面接準備、スケジュール管理が重なって活動そのものが破綻する可能性があります。
そこで見るべきなのが、応募総数ではなく「今、選考が動いている会社を何社管理できるか」です。
応募ボタンを押す作業は数分でも、その先には日程調整、企業研究、面接準備があります。「応募できる社数」と「丁寧に選考を受けられる社数」は別物として考えたほうがいいでしょう。
会社に知られないか不安になる
四つ目は、現職に転職活動を知られる不安です。
会社支給のパソコンやメールアドレス、社内ネットワークを転職活動に使わず、私物端末と個人用メールを使うことが基本です。
面接予定を社内共有カレンダーへ誤って登録したり、職場で転職について話したりすることも避けたほうがよいでしょう。
ただ、「会社に知られないようにしなきゃ」と神経を使いすぎることも、意外と大きな疲労になります。
そのため私は、仕事用と転職用の連絡環境を最初に分け、その後は必要以上に気にしなくて済む状態を作ることをおすすめしています。
転職活動専用のメールフォルダを作ったり、通知を確認する時間を決めたりするだけでも、「いつ連絡が来るか気になって仕事中もスマホを見る」という状態を減らせます。

働きながら転職活動できないときの進め方は?
結論は、働きながらなら応募総数ではなく「同時進行数」を管理し、平日と休日で作業を分けることです。
転職活動に生活を合わせるのではなく、今の生活へ入るサイズまで活動を小さくします。
「毎日転職活動する」という発想を捨てるだけでも、かなり楽になります。週単位で少しずつ前へ進めば、転職活動は成立します。
最初に「辞めたい理由」と条件を3つだけ決める
最初から完璧な自己分析を完成させる必要はありません。
まず、次の3点を書いてみてください。
- 今の職場で一番変えたいこと
- 次の職場で二度と繰り返したくないこと
- 給与・休日・勤務地など最低限守りたい条件
例えば「残業が多いから転職したい」という人でも、本当に嫌なのは残業時間そのものとは限りません。
急な残業が多くて予定を立てられないことかもしれませんし、仕事量に対して人員が足りないことかもしれません。
人間関係が理由の場合も同じです。「人間関係の良い会社」という曖昧な条件では求人を選べません。
「上司一人に判断が集中する環境が嫌だった」「質問しづらい雰囲気がつらかった」「異動や配置転換の選択肢がないことが苦しかった」と分解すると、次の職場で確認したいポイントに変換できます。
ここが分かれば、求人を見る際にも「残業少なめ」という一言だけでなく、繁忙期、チーム人数、仕事の分担、休日出勤の有無など確認すべきポイントが見えてきます。
転職活動を短くする一番の近道は、大量の求人を高速で見ることではありません。
自分に合わない求人を早く除外できる基準を持つことです。
平日は軽い作業、休日に判断が必要な作業を置く
仕事後に毎日1時間転職活動をする必要はありません。
一例として、私は次のような分け方をおすすめしています。
曜日 やること 時間の目安
月曜 求人を2~3件保存 10~15分
火曜 応募先からの連絡確認 10分
水曜 職務経歴書を1項目だけ修正 20~30分
木曜 翌週の面接可能時間を確認 10分
金曜 原則休む 0~10分
土曜 保存求人を比較し、応募を判断 60~90分
日曜 面接準備と翌週の整理 30~60分
もちろん、残業やシフトによって変えて構いません。
ポイントは、疲れている平日の夜に「求人を探して、比較して、応募を決めて、書類を書いて、面接対策もする」という重いセットを置かないことです。
例えば月曜日に求人を保存する段階では、応募するか決めなくてもいいんです。
判断は土曜日にまとめる。
こうすると、「今日は何をすればいいんだろう」と毎晩考える回数も減らせます。
予定通りにできない日があっても、翌日に全部取り戻そうとしないことも大切です。水曜日に何もできなければ、木曜日は予定通り「面接可能時間の確認」だけで構いません。
転職活動が続かなくなる人ほど、できなかった作業を翌日へ積み上げて「宿題」を増やしてしまいます。
転職活動では、遅れを取り戻すより、再開しやすい状態を保つほうが重要です。
同時進行する企業は「準備できる数」までにする
dodaの平均応募社数31.9社を見ても、複数応募自体は特別なことではありません。
ただし、働きながらなら応募総数と同時進行数を分けて考えることが重要です。
私なら最初の設定として、面接準備が必要な企業を同時に2~3社程度までにします。
これは統計上の正解ではなく、あくまで忙しい人が管理を始めるための実務的な目安です。
2社でも、
- 求人票を読み直せない
- どの会社で何を話したか混ざる
- 面接対策をする時間がない
という状態なら、1社まで減らして構いません。
逆に時間に余裕があり、応募職種もほぼ同じで準備を共通化できるなら、3社を超えても問題ありません。
大切なのは社数ではなく、選考の質を落とさず管理できているかです。
ここでおすすめなのが、「応募中」「書類選考中」「面接予定あり」を分けて見る方法です。
応募しただけの会社が10社あっても、実際に面接準備が必要なのが2社なら負担はまだ限定的です。
反対に応募社数が4社しかなくても、4社すべての面接が同じ週に入ればかなり忙しくなります。
つまり、働きながら転職活動をするなら、「何社応募したか」より今週いくつの締め切りと面接があるかを見たほうが現実的です。
面接候補日はあらかじめ3枠ほど作る
面接の連絡が来るたびに勤務表とにらめっこするのも、地味ですが大きな負担です。
そこで、翌週に使えそうな時間をあらかじめ確認しておきます。
例えば、
- 火曜日18時30分以降
- 水曜日8時~9時
- 金曜日17時30分以降
という具合です。
「在職中のため日中は難しいのですが、上記の時間であれば調整可能です」と複数候補を出せば、企業側も返答しやすくなります。
すべての企業が対応できるとは限りませんが、候補が一つしかない状態より調整余地は広がります。
有給休暇や半休が使える場合も、一次面接から毎回休暇を使うのではなく、オンラインで対応可能な選考は勤務前後にし、最終面接など重要度の高い場面へ休暇を残す方法があります。
また、複数社の選考が進んだときは「面接1回につき1日休む」と考えず、可能なら同じ日に時間をずらしてまとめるという考え方もあります。
ただし、面接を詰め込みすぎて企業研究や休憩時間がなくなれば本末転倒です。自分が落ち着いて受けられる範囲で調整してください。
返信や締め切りを「その場で全部処理」しない
働きながらの転職活動では、応募先から届くメールやメッセージも負担になります。
仕事中に連絡が届くたび、「早く返さないと不利になるのでは」と気になってしまう人もいますよね。
ですが、転職活動の連絡を一日中気にしていると、本業にも転職活動にも集中しにくくなります。
私は、緊急性の高い連絡がない限り、朝・昼・帰宅後など確認する時間帯をある程度固定する方法がおすすめです。
「連絡が来るたび転職モードへ切り替える」のではなく、「決めた時間にまとめて処理する」という形です。
これも時間を節約するためだけではありません。仕事と転職活動を何度も切り替えることで生まれる精神的な疲れを減らす狙いがあります。
職務経歴書は最初から100点を目指さない
「職務経歴書を書かなきゃ」と思った瞬間に、転職活動が止まる人も少なくありません。
特に初めて転職する人は、何を書けばいいか分からず、パソコンの前で1時間悩んで一文字も進まなかった……ということもあります。
最初は完成文章ではなく、
- 担当している仕事
- 担当顧客や対象
- 工夫したこと
- 数字で説明できる成果
- 周囲から任されている役割
といった事実を箇条書きにするだけでも構いません。
ゼロから美しい文章を書くより、「事実を集める作業」と「文章へ整える作業」を分けたほうが進めやすくなります。
一度ベースとなる職務経歴書が完成すれば、その後は応募先に合わせて強調部分を調整できます。
つまり、書類作成で一番負担が大きいのは初回です。だからこそ、最初から完璧を狙わず、小さく完成へ近づけてください。
AIやテンプレートは「考える代わり」ではなく下書きに使う
2026年のNALYSYS調査では、直近3年以内の転職活動でAIを利用した経験がある人は28.5%でした。
AI利用者の用途では「履歴書や職務経歴書の文章作成」が81.0%で最も多くなっています。
忙しい人にとって、文章のたたき台を作る時間を減らせるのはメリットです。
ただし、職務経歴や実績、志望理由をAI任せにして、事実と違う内容を提出するのは避けなければいけません。
私は、AIを使うなら「文章をゼロから考えてもらう」というより、自分で箇条書きした事実を読みやすく整理する補助役として使うほうが安全だと考えています。
例えば「売上を大幅に伸ばした」のような曖昧な表現を勝手に作らせるのではなく、自分が実際に担当した業務、工夫、結果を書き出したうえで、文章構成を整理するために使うイメージです。
企業ごとの志望動機についても、生成された文章をそのまま提出するのではなく、「なぜ自分がその会社を選ぶのか」が自分の言葉で説明できる状態にしておきましょう。
働きながらと辞めてから、どちらの転職活動が向いている?
基本的には、働き続けられる状態なら在職中に転職活動を始めるメリットがあります。
収入が続き、希望に合わない企業へ焦って決めなくてもよく、今の職場と応募先を比較できるからです。
一方で、誰にでも「内定が出るまで絶対に辞めないほうがいい」と言えるわけではありません。
マイナビが2025年9月24日に公表した「転職活動実態調査(2025年)」では、2024年7月~2025年6月に転職活動をした1,500名のうち、「必ず転職したい」は28.5%にとどまり、「いい会社が見つかれば転職したい」が56.9%でした。
さらに、転職活動を始めた時点で想定していた期間は「3カ月以上半年未満」が28.1%で最多。「1年以上」を想定していた人も22.7%いました。
このデータから分かるのは、転職活動は必ずしも「3カ月で決着させなければならない短期決戦」ではないということです。
在職中と退職後を整理すると、次のようになります。
比較ポイント 在職中に転職活動 退職後に転職活動
収入 維持しやすい 定期収入がなくなる場合がある
平日の面接 勤務との調整が必要 時間を取りやすい
書類・企業研究 仕事との両立が必要 まとまった時間を取りやすい
求人の比較 現職と比較しやすい 「早く決めたい」気持ちが強まる場合がある
活動ペース 長期化しても収入面の余裕を保ちやすい 生活費によって期限が生まれやすい
職歴 空白が生じにくい 活動期間によって空白が生じる
私なら、まだ働き続けられる状態の人には、いきなり退職する前に2~4週間だけ「小さい転職活動」を試すことを提案します。
条件整理、求人保存、職務経歴書の作成、数社への応募までやってみてください。
それでも残業や勤務形態のため全く時間が取れないなら、「自分に根性がない」のではなく、在職中という条件そのものが活動と両立しにくい可能性があります。
反対に、生活費への不安が強い人や、転職活動が長引くほど焦ってしまいそうな人は、在職中のメリットが大きくなります。
退職を先に検討するなら、感情だけで決めるのではなく、当面の生活費、固定費、退職時期、失業給付の要件なども確認してから判断してください。
特に、「転職活動をする時間がないから辞める」という理由だけで退職すると、今度は「収入がないから早く決めなければ」という別の焦りが生まれる場合があります。
時間の問題が解決しても、焦りによって求人を比較できなくなれば、転職先選びの質が下がる可能性があります。
だからこそ、退職するかどうかは「時間を確保できるか」だけではなく、退職後に落ち着いて求人を選べる条件が整っているかまで含めて考えてください。

働きながら転職活動を続ける鍵は「判断予算」を使い切らないこと
ここからは、転職支援に関わってきた立場からの私見です。
働きながらの転職活動で見落とされやすいのは、一日に使える「判断の余力」にも限界があるということだと私は考えています。
私はこれを、分かりやすく「判断予算」と呼んでいます。
仕事でトラブル対応をし、上司へ報告し、取引先へ連絡し、優先順位を決め続けたあとに帰宅する。
そこから、
「A社とB社のどちらへ応募するか」
「転職理由をどう書くか」
「給与と休日、どちらを優先するか」
「面接希望日はいつにするか」
と決め続ければ、30分しか作業していなくても強く疲れることがあります。
だから私は、忙しい相談者ほど「毎日何分やるか」だけでなく、その日に何を決めるかを減らす設計を重視します。
求人を探す日は保存だけ。
応募を決める日は比較だけ。
面接対策の日は新しい求人を探さない。
こうして工程を分離すると、活動そのものは完全に止まりにくくなります。
この考え方は、「転職活動の作業量」だけを見るよりも実践しやすいと感じています。
同じ30分でも、求人を機械的に保存する30分と、「自分の人生にどの会社を選ぶか」を考え続ける30分では疲れ方が違うからです。
「時間がある日」より「判断できる日」を使う
休日なら時間があるから転職活動をしよう、と考える人は多いですよね。
でも、休日でも疲れ切っている日はあります。
反対に平日の朝でも頭がすっきりしていて、10分だけなら大切な判断ができる日もあります。
そこで私は、転職活動を「空き時間」だけで決めず、頭を使える時間へ重要な作業を置くことをおすすめしています。
例えば、求人保存やメール確認は疲れている夜でも比較的取り組みやすいでしょう。
一方、応募するかどうかの判断、条件比較、志望動機の整理、面接の振り返りなどは、できるだけ集中できる時間に回します。
この切り分けができると、「休日を丸ごと転職活動で潰したのに全然進まなかった」という状態も防ぎやすくなります。
同時進行2~3社が多すぎる人もいる
一方で、「同時進行2~3社」という目安が向かない人もいます。
例えば、シフトが直前まで確定しない人、応募企業ごとに提出書類を大きく作り替える必要がある人、短期間に複数回の面接が入っている人なら、2社でも負担が大きいでしょう。
逆に、ほぼ同じ職種へ応募し、職務経歴書や面接準備を共通化しやすい人なら、もう少し多くても管理できるかもしれません。
つまり、「正解の応募数」を探すより、自分が破綻しない選考密度を探すことのほうが重要です。
これは、2026年のNALYSYS調査で、仕事の忙しさから転職活動を中断した経験者が56.3%に達していたことともつながります。
始めることより、続けられる形にすることのほうが難しいんです。
「今月は何社応募するか」という目標より、「来週面接が2件入っても準備できるか」という問いのほうが、働きながらの転職活動では役に立つと私は考えています。
転職活動を「市場調査」と考えてもいい
もう一つ、私は転職活動を「退職するためだけの作業」にしなくてもいいと考えています。
マイナビの「転職活動実態調査(2025年)」では、「いい会社が見つかれば転職したい」という人が56.9%と半数を超えていました。
求人を見ることで、自分と近い仕事の給与水準を知ったり、今の会社にはない制度を知ったり、「自分が嫌なのは職種ではなく会社だった」と気づいたりすることがあります。
つまり転職活動には、今の職場を外側から評価し直す市場調査という役割もあります。
調べた結果、「今は転職しない」と判断しても、それは失敗ではありません。
逆に他社の求人や選考を見て、「今の環境からはやはり離れたい」と気持ちが固まる場合もあります。
最初から「転職活動を始めた以上、絶対に会社を辞めなければ」と決めないことも、働きながら続ける負担を減らす方法の一つです。
転職活動は、応募した瞬間に退職を約束するものではありません。
比較材料を集めてから「今の会社に残る」「別の会社へ移る」を判断できることは、在職中に活動する大きなメリットだと私は感じています。
働きながら転職活動が止まったときはどう再開する?
転職活動が一度止まっても、ゼロからやり直す必要はありません。
NALYSYS調査では、仕事の忙しさを理由に転職活動を中断した経験がある人が56.3%でした。
つまり、「始めたのに続かなかった」という経験自体が特別なものではないんです。
再開するときに、いきなり応募を10社増やしたり、職務経歴書を全部書き直したりすると、また負担が大きくなります。
まずは現在地を確認してください。
- 保存していた求人のうち、まだ興味があるものを確認する
- 職務経歴書の古い部分だけ更新する
- 希望条件が変わっていないか見直す
- 今週使える時間を確認する
- 応募するならまず1社だけ選ぶ
転職活動を再開するときは「遅れを取り返す」のではなく、再び習慣に戻すことを優先するのがポイントです。
これは私自身の転職活動でも強く感じたことでした。
忙しい時期に活動が止まると、「今さら再開しても遅い」「ちゃんとできない自分は向いていない」と考えてしまいがちです。
でも転職活動は資格試験の締め切りのように、全員が同じ日に終えなければならないものではありません。
求人は入れ替わりますし、自分の仕事の忙しさも変わります。
少し余裕が戻った週に求人を1件見るところから再開してもいいんです。
考察|働きながらの転職は「速さ」より「止まらない仕組み」が重要
ここからは私の考えです。
働きながらの転職活動で、多くの人が苦しくなる一番の理由は、「転職活動は短期間で一気にやるもの」と考えてしまうことではないでしょうか。
転職成功者の平均応募社数や、短期間で内定した人の体験談を見ると、「自分も一気に応募しなきゃ」と焦る気持ちは分かります。
ですが、平均応募社数31.9社という数字も、仕事の忙しさによる中断経験56.3%という数字も、同時に存在しています。
私はここが重要だと考えています。
応募数を確保することと、転職活動を継続できることは別の問題です。
短期間に大量応募して疲れ切り、1カ月活動を止めてしまうなら、週に数件ずつでも続けられる方法のほうが結果として多くの求人と向き合える可能性があります。
特に今の職場で残業、人手不足、人間関係などに悩んでいる人ほど、転職活動に使える余力は少なくなります。
「つらい職場から抜け出したいのだから、転職活動を頑張らなきゃ」と考えすぎると、今度は転職活動そのものが第二の仕事になってしまいます。
個人的には、ここで必要なのは努力量を増やすことではなく、転職活動を生活の中で自動的に進められる仕組みに近づけることだと思っています。
月曜日は求人保存、水曜日は職務経歴書、土曜日は応募判断。
面接候補日は週の初めに確認する。
メールを見る時間も決めておく。
こうした仕組みがあれば、「今日やる気があるかどうか」に毎回左右されにくくなります。
そして、もう一つ大切なのが「転職しないという結論も残す」ことです。
転職活動をした結果、自分が想像していたほど他社の条件が良くないと分かることもあります。
反対に、他社の求人を見て初めて「今の会社では当たり前だと思っていた条件が、実は当たり前ではなかった」と気づくこともあります。
この比較ができるだけでも、転職活動には意味があります。
私自身、激務と人間関係に悩んでいたころは、「辞めるか、我慢するか」の二択で考えてしまっていました。
でも本当は、その間に「求人を見る」「市場を知る」「書類だけ作る」「数社と話してみる」という段階があります。
いきなり人生を決めなくてもいいんです。
まず外の世界を少し見てから、自分にとって納得できる選択を考える。
働きながらの転職活動は、そのための準備期間でもあると私は考えています。
まとめ|働きながら転職活動できないなら、活動量を生活に合わせよう
働きながら転職活動ができないと感じるのは、珍しいことではありません。
2026年7月8日にレバレジーズが公表したNALYSYSの調査では、転職活動経験者515名の78.6%が当時在職中で、8割超が転職活動に苦労したと回答しています。業務の忙しさを理由に活動を中断した経験がある人は56.3%、面接日程が合わず選考を辞退した経験がある人も29.9%でした。
だから、「仕事後に転職活動できない自分はダメだ」と考える必要はありません。
働きながらなら、まず次のように活動を小さくしてください。
- 譲れない条件を3つ程度決める
- 平日は求人保存や連絡確認など軽い作業にする
- 応募判断や面接対策は休日へまとめる
- 面接可能時間をあらかじめ複数用意する
- 応募総数ではなく、同時進行できる企業数を管理する
dodaの2026年データでは、転職成功者の平均応募社数は31.9社でしたが、それは転職活動全体での数字です。
「31社応募しなければ」と一気に増やす必要はありません。
必要に応じて複数企業へ応募しながら、今週きちんと向き合える会社だけを管理する。
私は、この考え方が仕事と転職活動を両立するうえでとても大切だと考えています。
今日は求人を2件保存しただけでもいい。
職務経歴書の一項目だけ直した日があってもいい。
何もしない日を作っても構いません。
転職活動は短距離走ではありません。
今の生活で使える時間と「判断予算」の範囲に活動量を収めて、止まらず続けられる形を作っていきましょう。
よくある質問
働きながら転職活動するのは本当に可能ですか?
可能ですが、楽にできるとは限りません。
2026年のNALYSYS調査では、転職活動経験者515名の78.6%が当時在職中でした。一方、8割超が転職活動で苦労したと回答しており、在職中の活動が一般的でも負担が小さいわけではないことが分かります。
毎日長時間取り組むのではなく、求人保存、書類作成、応募判断、面接準備を分けて進めるほうが続けやすいでしょう。
働きながら転職活動するなら何社応募すればいいですか?
万人共通の正解はありません。
dodaでは転職成功者の平均応募社数が31.9社となっていますが、これは活動開始から内定までの総数です。
まずは面接準備や企業比較を崩さず管理できる同時進行数から始め、必要に応じて増減するのがおすすめです。
私なら最初は、面接準備が必要な企業を2~3社程度までにし、負担が大きければ1社へ減らします。反対に余裕があるなら増やして構いません。
働きながら転職活動がどうしても無理なら、辞めてからでもいいですか?
退職後に転職活動へ集中する選択肢もあります。
ただし、収入がなくなることで焦りが強くなる可能性もあります。
まだ働ける状態なら、まず2~4週間ほど活動量を小さくして試し、それでも時間を確保できない場合に、生活費や固定費、退職時期、退職後の計画などを確認しながら退職を含めて考えると整理しやすいでしょう。
「働きながらできないから自分には転職が無理」と考える必要はありません。今の働き方と活動方法の組み合わせが合っていない可能性もあります。
夏目結衣(若手専門転職アドバイザー)


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