転職で給料1.5倍は実例こそあるものの少数派で、2倍はさらに例外的です。重要なのは倍率より、現在年収と市場相場の差を見極めることです。
「転職すれば給料が1.5倍になるの?」「年収2倍になったという話は本当?」と気になっている方も多いと思います。
こんにちは!転職アドバイザーの夏目結衣です。毎日遅くまでの残業や、しんどい人間関係…本当にお疲れ様です。私もかつて「このままでいいのかな」と悩みながら、限界まで無理をして働いていた時期があるので、そのモヤモヤ痛いほどわかります。このブログでは、キレイごと抜きのリアルな葛藤や、エージェント業界のぶっちゃけ話も交えながら、あなたが自分らしい働き方を見つけるためのヒントを親身にお届けしますね!
今回は、厚生労働省の「令和6年雇用動向調査」、doda、JAC Recruitment、マイナビ転職が公表しているデータをもとに、転職で給料1.5倍・2倍はどこまで現実的なのかを整理します。
最初に押さえておきたいのは、「賃金」と「年収」は必ずしも同じ数字ではないことです。
厚生労働省の雇用動向調査が示す前職との「賃金」の変化と、民間転職サービスが扱う賞与などを含む「年収」では、対象者や集計方法が異なります。
そのため、この記事では数字を無理に横並びにせず、どの集団を対象にした数字なのかまで確認しながら見ていきます。
転職で給料1.5倍・2倍は本当に可能?統計から見る現実
給料1.5倍は可能ですが、一般的な転職者の標準的な上昇幅ではありません。2倍となれば、さらに特殊な条件が必要です。
厚生労働省の「令和6年雇用動向調査」によると、2024年の転職入職者全体で、前職より賃金が「増加」した人は40.5%でした。
内訳は次のとおりです。
- 1割以上増加:29.4%
- 1割未満増加:11.2%
- 変わらない:28.4%
- 1割未満減少:7.6%
- 1割以上減少:21.7%
「増加」は40.5%、「減少」は29.4%で、増加した人のほうが11.1ポイント多い結果でした。
ここで誤解しやすいのが、「1割以上増加した人が29.4%いるなら、1.5倍も珍しくないのでは?」という点です。
1.5倍は50%増、2倍は100%増です。
厚生労働省の「1割以上増加」という区分には10%増も50%増も含まれるため、この統計だけから「1.5倍になった人が何%いる」と判断することはできません。
なお、同じ厚生労働省調査でも、「雇用期間の定めのない一般労働者から、雇用期間の定めのない一般労働者へ転職した人」に限定すると数字は変わります。
dodaが2026年8月24日に公開した解説では、この区分をもとに、賃金が増えた人を41.6%、1割以上増えた人を30.4%と紹介しています。
つまり、ネット上で「40.5%」「41.6%」という2種類の数字を見ても、どちらかが誤りというわけではありません。
転職入職者全体を見るか、一般労働者同士の転職に絞るかという母集団の違いです。
私はここをかなり大事だと考えています。
転職の給与データは数字だけが一人歩きしやすいのですが、「誰の数字なのか」を確認しないと、自分にも同じ結果が起こるように感じてしまうからです。
3割以上の大幅アップでも約7%
さらに参考になるのが、JAC Recruitmentが2026年8月24日に更新した解説です。
JACは厚生労働省の「令和2年転職者実態調査」をもとに、転職によって賃金が3割以上増えた人は全体の約7%と紹介しています。
30%アップですら少数派です。
50%アップに当たる1.5倍、100%アップに当たる2倍になれば、一般的な転職よりさらに条件が限定されると考えるのが自然でしょう。
JACも、3割前後のアップは実現可能なケースがある一方、「年収が2倍以上になる」ような転職は難しいという趣旨で説明しています。
ここから分かるのは、「転職すると何%上がるか」という一つの相場を探すよりも、自分がどの条件に当てはまっているかを見るほうが大切だということです。
dodaでは年収アップした人が64.1%|平均109万円増をどう見る?
転職サービス利用者に対象を絞ると、年収アップ率は公的統計より高くなるデータもあります。ただし、母集団の違いに注意が必要です。
dodaが2026年8月24日に公開したデータでは、dodaエージェントサービスを利用して転職した人のうち、年収がアップした人は64.1%でした。
さらに、年収が上がった人だけを対象にした平均値は次のとおりです。
項目 doda公表値
転職前年収の平均 417万4,147円
転職後年収の平均 526万8,530円
平均アップ額 109万4,383円
平均年齢 33.4歳
平均転職回数 1.4回
転職前年収417万4,147円から転職後526万8,530円なので、単純計算すると約26%の増加です。
100万円を超える平均アップ額を見ると、「転職すれば自分も100万円以上上げられそう」と感じるかもしれません。
でも、ここは慎重に見たいところです。
平均109万4,383円という数字は、doda利用者全員ではなく「実際に年収が上がった人」の平均です。
年収が維持された人や下がった人を含めた転職者全体の平均上昇額ではありません。
また、厚生労働省の40.5%とdodaの64.1%を、そのまま比較して「dodaを使えば24ポイント近く成功率が上がる」と解釈することもできません。
調査対象も「賃金」と「年収」という指標も異なるからです。
数字を見るときは「分母」を確認する。
転職情報を読むうえでは、この癖をつけておくだけでもかなり判断を誤りにくくなります。
転職で給料1.5倍になりやすい人とは?3つの条件
給料1.5倍に近い大幅アップが起こりやすいのは、現職の給与が市場相場より低い人、より給与水準の高い市場へ移る人、希少性と再現性のある経験を持つ人です。
「年収400万円から600万円」のような50%アップは、単純な給与交渉だけで生まれるというより、自分に値段を付ける市場そのものが変わったときに起こりやすいと私は考えています。
現在の給料が市場相場より低い
まず考えたいのが、今の会社で受け取っている給与と、外の転職市場で提示される給与とのズレです。
たとえば、
- 責任範囲が増えても長期間ほとんど昇給していない
- 専門職なのに社内の給与テーブルが低い
- 同じ会社に長く勤め、市場相場とのズレが広がっている
- 同職種の大手企業や高収益企業へ移る
- これまでより給与水準の高い業界へ移る
といったケースです。
JACも、大きな成果や成長があったにもかかわらず現職で年収に反映されていない場合、大幅な年収アップにつながる可能性があると説明しています。
ここで重要なのは、「自分は年収600万円欲しい」と希望することと、「市場が自分に600万円を提示する」ことは別だという点です。
年収400万円から600万円を目指すなら、まず確認したいのは600万円という給与帯で、自分と似た経験を持つ人を採用している求人が本当に存在するかです。
求人票を10件、20件と比較すると、「今の会社だけが基準ではなかった」と気づくことがあります。

給与水準の高い業界・企業へ移る
同じ仕事でも会社によって給与は違います。
これは本人の能力だけではなく、
- 会社の利益構造
- 一人当たりの生産性
- 採用競争の強さ
- 給与テーブル
- 人材不足の度合い
- 担うポジションの責任範囲
などが違うためです。
たとえば、同じ「法人営業」という肩書でも、扱う商品が数万円の商材なのか、数千万円規模のサービスなのかでは、企業が一人の社員に期待する売上や利益も変わります。
ITエンジニアでも、運用中心のポジションと、高度なクラウド設計やセキュリティ、プロジェクトマネジメントを担うポジションでは給与レンジが異なります。
つまり、年収を大きく上げるには「今の仕事をもっと頑張る」だけでなく、「その経験をより高く評価する場所はどこか」を探す視点が必要なのです。
希少性だけでなく「再現性のある実績」がある
高い給与を提示する企業にも理由があります。
採用側からすると、「年収750万円を払っても、それ以上の価値を生み出してくれそう」と判断できる材料が必要です。
評価につながりやすいのは、たとえば、
- 高度なIT・セキュリティ・データ領域の経験
- プロジェクトマネジメント経験
- 組織や部下のマネジメント経験
- 特定業界に関する深い専門知識
- 海外顧客や海外拠点との業務経験
- 売上・利益・コスト削減など数字で説明できる実績
などです。
ただし、「資格を持っている」「営業経験10年」と書くだけでは十分とは限りません。
「何を任され、どんな課題に対して何を行い、どのような結果になったか」まで説明できると、採用企業は入社後の姿を想像しやすくなります。
給料1.5倍に近づくうえで本当に強いのは、強気な年収交渉ではありません。
企業が『この人なら、この給与を払う理由がある』と判断できる経歴を作ることだと思います。
転職で給料2倍はなぜ難しい?一度の転職より数年単位で考える
給料2倍が難しいのは、100%の上昇を正当化できるだけの役割・市場価値・給与レンジの変化が必要になるからです。
年収300万円から600万円も2倍ですし、500万円から1,000万円も2倍です。
しかし、この2つでは難易度が同じとは限りません。
300万円で働いている人が、実際には500万〜600万円で採用される経験を持っていた場合、市場相場への修正によって大幅アップする余地があります。
一方、すでに市場相場に近い500万円を受け取っている人が、ほぼ同じ役割のまま1,000万円になるには、かなり大きな変化が必要です。
JACも、高い年収を提示する企業ではスキルや経験だけでなく、仕事内容との適合や高い期待値を確認することが重要だとしています。
つまり、2倍を考えるなら「会社との交渉」ではなく、仕事内容や役割そのものが何段階変わるのかまで見る必要があります。
「400→500→600→800万円」という考え方
20代・30代の方に私が特に伝えたいのは、年収2倍を一回の転職で完成させなくてもいいということです。
たとえば、
400万円
↓
転職して500万円
↓
昇進や専門性向上で600万円
↓
次の転職で800万円
となれば、最初の400万円から見れば2倍です。
途中で「この仕事は自分に合っていない」と気づけば軌道修正もできます。
いきなり800万円の求人だけを探して無理に背伸びするより、「500万円を払う会社で何を経験すれば、次に600万円、800万円へ進めるのか」と逆算するほうが再現性があります。
私はこれが、SNSの「転職したら年収2倍」の一言では見えにくい部分だと思っています。
成功した瞬間だけを見ると一回の転職で人生が変わったように感じますが、その前には数年間の経験蓄積や、担当業務の変化、専門性の獲得があるケースも少なくありません。
年収アップ転職で確認すべきことは?「額面」より中身を見る
高年収オファーほど、基本給・固定残業代・賞与・労働時間・責任範囲まで分解して確認することが大切です。
マイナビ転職が、直近2年以内に転職した20〜50代会社員800人を対象として2024年7月30日〜8月5日に実施した調査では、転職後に年収が上がった人は40.2%でした。
年代別では30代の年収増減額が平均プラス約47万円となり、30代では100万円以上アップした人も2割近くいました。
一方で、転職後の給与について「想定とのギャップがあった」と感じている人も半数を超えています。
つまり、年収が上がれば、それだけで満足できるとは限らないということです。
年収650万円でも基本給が高いとは限らない
たとえば、
- A社:年収500万円、残業少なめ
- B社:年収650万円、月45時間分の固定残業代込み
という求人があったとします。
数字だけを見ればB社は150万円アップです。
しかし、実際の労働時間や基本給、賞与の算定基準まで見ると、条件差の印象が変わる可能性があります。
オファーを受け取ったら、
- 基本給
- 固定残業代と対象時間
- 超過残業代の扱い
- 賞与の算定方法
- インセンティブ
- 各種手当
- 退職金
- 確定拠出年金などの制度
- 昇給・評価の時期
- 年間休日
- 想定残業時間
- 試用期間中の条件
- 入社後に期待される役割
まで確認しておきたいところです。
給与が上がった理由が「市場価値を高く評価されたから」なのか、「労働時間や責任が大幅に増えるから」なのかでは意味が違います。

年収1.5倍でも「時間単価」が変わらないことがある
ここで、私が年収アップを考える方にぜひ持ってほしい視点があります。
それが実質的な時間単価です。
単純化した例ですが、
年収500万円で年間2,000時間働く場合、1時間当たりは2,500円です。
一方、年収750万円に上がっても年間3,000時間働くなら、こちらも1時間当たり2,500円です。
もちろん実際には税金、社会保険、残業代、福利厚生、休日数などもあるので、この計算だけで転職先を判断することはできません。
それでも、「年収1.5倍=生活の豊かさも1.5倍」とは限らないことは分かります。
逆に、500万円から650万円への1.3倍でも、残業時間が大きく減り、年間休日が増え、自分が得意な仕事に集中できるなら、生活全体ではプラスになることがあります。
私は年収を見るとき、
「年収」「労働時間」「責任」「その働き方を数年続けられるか」
の4つをセットで比べることをおすすめしています。
考察|給料1.5倍を狙うなら「交渉」より給与レンジを変える
ここまでのデータを見ると、転職による大幅年収アップを「交渉術」の話だけで考えるのは少し違う、と私は感じます。
厚生労働省の2024年データでは、転職者全体で賃金が増えた人は40.5%でした。
JACが引用する別調査では、3割以上増加した人でも約7%です。
一方、dodaエージェントサービスの利用者では64.1%が年収アップし、年収が上がった人に限れば平均109万4,383円増えています。
この差を見ると、「大幅アップは存在する。しかし誰にでも同じ確率で起きるわけではない」と考えるのが自然です。
では、1.5倍に近い上昇を目指すなら何をすればいいのでしょうか。
私は、今の給与を50%上げてもらう方法を探すより、自分が今より高い給与レンジで採用される市場を探すほうが重要だと考えています。
企業の給与は、一人の上司が自由に決めているわけではありません。
役職、等級、給与テーブル、既存社員とのバランス、予算、職種ごとの採用相場など、さまざまな制約があります。
仮に現在の会社で年収400万円の社員が非常に高い成果を出していたとしても、同じ等級の社員が400万〜450万円に収まっている会社なら、一人だけ600万円へ引き上げるのは難しい場合があります。
ところが別の企業では、同じ経験を持つ人材を最初から550万〜650万円のレンジで募集しているかもしれません。
このとき、転職によって起きているのは単なる「昇給」ではありません。
自分の経験に、別の市場で新しく値段を付けてもらっているのです。
ここが、大幅年収アップを考えるうえで最も重要なポイントだと思います。
「自分はいくら欲しいか」より「その年収で何を求められるか」
もう一つ大事なのが、希望年収から逆算し過ぎないことです。
たとえば現在400万円で、「次は600万円にしたい」と考えること自体は問題ありません。
でも、その次に調べるべきなのは、
「年収600万円の求人では、どんな経験が求められているか」
です。
求人を比較して、
「マネジメント経験が必要なんだ」
「法人営業だけでなく予算管理まで求められるんだ」
「このIT分野の経験があれば給与帯が一段上がるんだ」
と分かれば、足りない経験が見えてきます。
すると転職活動が、「一発逆転できる求人探し」ではなく「次の給与帯に入るためのキャリア設計」に変わります。
私はこの考え方のほうが、20代・30代の方には長い目で見て強いと思っています。
もし今の年収が市場相場よりかなり低いなら、次の一社で一気に上がる可能性があります。
逆にすでに市場相場に近いなら、今すぐ1.5倍にするよりも、次の会社で希少性の高い経験を積み、その次の転職まで含めて考える方法があります。
大切なのは、今の会社から提示されている給与だけで、自分の価値を決めないことです。
同時に、「自分ならもっともらえるはず」と根拠なく思い込まないことも大切です。
求人票を比較し、実際に選考を受け、複数企業からどの程度の条件を提示されるかを見ることで、初めて市場での評価が具体的になります。
年収アップを運任せにしないためには、
「いくら欲しいか」ではなく、「その金額を払う会社が欲しがる経験を自分は持っているか」
から考える。
これが、給料1.5倍・2倍という派手な数字に振り回されないための、一番現実的な方法だと私は考えています。
まとめ|転職で給料1.5倍は可能でも「普通」ではない
転職で給料1.5倍になるケースは実際にあり得ます。
ただ、2024年の厚生労働省「雇用動向調査」では、転職入職者全体の40.5%が前職より賃金増となった一方、50%アップした人の割合までは示されていません。
さらにJACが厚生労働省の別調査をもとに紹介している数字では、3割以上の増加でも約7%です。
そのため、1.5倍を転職の標準的な上昇幅として期待するのは現実的ではありません。
一方で、現在の給与が市場相場より低い、より給与水準の高い業界や企業へ移る、専門性やマネジメント経験を高く評価される、といった条件が重なると大幅アップの余地はあります。
2倍については、さらにハードルが上がります。
今の年収が市場相場から大きく下回っている特殊なケースを除けば、「400万円→500万円→600万円→800万円」のように、転職、昇進、専門性向上を組み合わせて数年単位で考えるほうが現実的です。
そして高いオファーをもらったときほど、年収の数字だけで決めないでください。
基本給、固定残業代、賞与、労働時間、責任範囲まで確認して、「この条件で自分は無理なく働き続けられるか」を考えることが大切です。
転職で本当に目指したいのは、数字だけを大きくすることではありません。
自分が積み上げてきた経験を適切に評価してくれる場所を見つけ、その報酬と働き方に納得して働けること。
私は、それが年収アップ転職のいちばん大切なゴールだと思っています。
よくある質問
転職で給料1.5倍になることはありますか?
ありますが、一般的な転職の上昇幅とはいえません。
現在の給与が市場相場より大幅に低い場合や、給与水準の高い企業・業界へ移る場合、希少な専門性やマネジメント経験が高く評価される場合などに、大幅アップが起こる可能性があります。
転職で給料2倍になることはありますか?
可能性自体はありますが、一度の転職で実現するのはかなり限られたケースです。
JAC Recruitmentも、3割前後の年収アップが実現するケースはある一方、2倍以上になる転職は難しいという趣旨で説明しています。
現在年収と市場相場に大きな差がない場合は、転職・昇進・専門性向上を組み合わせ、数年かけて2倍を目指す考え方もあります。
転職すると給料は平均でどのくらい上がりますか?
一つの数字だけで「平均○%」とは言い切れません。
厚生労働省の「令和6年雇用動向調査」では、2024年の転職入職者全体の40.5%が前職より賃金増となっています。
一方、dodaエージェントサービス利用者では64.1%が年収アップし、年収が上がった人だけを見ると、転職前年収の平均417万4,147円から転職後526万8,530円へ、平均109万4,383円増加しています。
公的統計と民間サービスでは対象者や指標が違うため、数字だけを単純比較せず、自分と近い職種・年齢・経験の求人相場を見ることが大切です。

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