転職後の給料が前職より下がった場合、条件を満たせば雇用保険の「就業促進定着手当」を受け取れる可能性があります。
ただし、給料が下がった人全員が対象ではなく、再就職手当を受給した人が主な対象です。2025年4月以降は支給上限も縮小されているため、現在の条件と計算方法を確認しておきましょう。
こんにちは!転職アドバイザーの夏目結衣です。毎日遅くまでの残業や、しんどい人間関係…本当にお疲れ様です。私もかつて「このままでいいのかな」と悩みながら、限界まで無理をして働いていた時期があるので、そのモヤモヤ痛いほどわかります。このブログでは、キレイごと抜きのリアルな葛藤や、エージェント業界のぶっちゃけ話も交えながら、あなたが自分らしい働き方を見つけるためのヒントを親身にお届けしますね!
転職で給料が下がったときの補助金「就業促進定着手当」とは?

結論からいうと、就業促進定着手当は、再就職手当を受給した人が同じ再就職先で6カ月以上働き、その間の賃金が離職前より低下した場合に支給される可能性がある雇用保険の給付です。ハローワークも、再就職手当を受けた人が引き続き再就職先に6カ月以上雇用され、所定の方法で計算した賃金日額が離職前を下回る場合を対象としています。
「転職で給料が下がったときの補助金」と検索されることが多い制度ですが、正確には雇用保険の就職促進給付の一つです。
ここで最初に押さえたいのは、「前職より年収が下がった=自動的にもらえる」わけではないということです。
たとえば、在職中に転職先を決め、退職後すぐ新しい会社へ入社した人が「前職より月給が3万円下がった」としても、それだけでは就業促進定着手当の対象とは判断できません。
この制度は、基本手当の受給資格を得た人が早期に再就職し、「再就職手当」を受けた後の賃金低下を支える仕組みだからです。
再就職手当は、基本手当の支給残日数を一定以上残して安定した職業へ再就職した場合に支給されます。現在は支給残日数が所定給付日数の3分の2以上なら70%、3分の1以上なら60%を基準に計算されます。
私はこの二つを、
- 再就職手当=早く再スタートするための支援
- 就業促進定着手当=再スタート後の賃金低下を一定期間支える支援
と分けると理解しやすいと思っています。
就業促進定着手当は、転職後の年収差を何年間も埋め続けてくれる制度ではありません。
「給料が少し下がるなら転職できない」と早期再就職をためらう人を支え、再就職後の定着につなげるための一時的な給付だと考えるのが適切です。
就業促進定着手当をもらえる条件は?
対象かどうかを確認するときは、まず①再就職手当を受給している、②同じ再就職先で6カ月以上雇用されている、③所定の再就職後賃金日額が離職前の賃金日額より低いという3点を確認しましょう。
主なポイントを整理すると次のとおりです。
確認ポイント 内容
再就職手当 再就職手当の支給を受けていること
勤続期間 再就職手当の対象となった同じ事業主に引き続き6カ月以上雇用されていること
雇用保険 原則としてその再就職先で雇用保険の被保険者として雇用されていること
賃金 所定の計算による再就職後6カ月間の賃金日額が離職前より低いこと
支給額 賃金差から計算するが、別途支給上限がある
申請 6カ月経過後に本人が申請する
特に注意したいのが、「再就職手当を受けた同じ再就職先で6カ月」という条件です。
A社への再就職で再就職手当を受けたものの、4カ月でA社を辞めてB社へ転職した場合、A社とB社を合計して6カ月働けばよいわけではありません。
東京ハローワークも、再就職手当の対象となった事業所を6カ月未満で退職した場合は就業促進定着手当の対象にならないと案内しています。
また、起業したことによって再就職手当を受給したケースでは、就業促進定着手当の対象にはなりません。
給料が実際に下がっていても「賃金日額」の上限・下限で対象外になることがある
ここは非常に重要で、見落とされやすいポイントです。
就業促進定着手当では、給与明細の額面をそのまま比較するのではなく、制度上の賃金日額を使って判定します。
しかも、離職前の賃金日額には年齢別の上限額と全年齢共通の下限額があり、再就職後の賃金日額にも所定の上限・下限処理があります。
そのため、実際の月収や年収が下がっていても、制度上は賃金日額の差が生じず、手当が支給されないケースがあります。
東京ハローワークも、実際に賃金が低下していても、低下後の賃金日額が上限額以上の場合には支給を受けられないと案内しています。
反対に、離職前の賃金日額が制度上の下限額だった場合も、それよりさらに低い金額として比較できないため、原則として就業促進定着手当は発生しません。
つまり、
「月給が下がったか」ではなく、「制度上の賃金日額に差が出るか」
を見る必要があるんですね。
月給制では6カ月分の賃金を180で割るのが基本
再就職後の賃金日額は、月給制なら原則として、
再就職後6カ月間の賃金合計 ÷ 180
で計算します。
一方、日給・時給制では「6カ月間の賃金÷180」と、実際の賃金支払基礎日数を使った計算を比較するなど、計算方法が異なります。
また、就職日が会社の賃金締切日の翌日ではない場合には注意が必要です。
この場合、最初の給与期間が1カ月に満たないため、賃金日額の算定では、就職後最初の賃金締切日後からの完全な6カ月分を使う扱いがあります。実務上は給与明細が7回分必要になるケースもあるため、「入社日から給与明細を6枚集めれば終わり」とは限りません。

ボーナスだけ下がった場合は年収差と結果が一致しない
就業促進定着手当でいう賃金には、基本給だけでなく、残業手当、通勤手当、皆勤手当などが含まれます。
一方、夏冬の賞与など3カ月を超える期間ごとに支払われる賃金は原則として含まれません。
たとえば、
「前職年収450万円、転職後420万円」
だけを見ると30万円の年収ダウンです。
しかし、その差がほぼ賞与の減少によるもので、毎月の賃金がほとんど変わっていなければ、就業促進定着手当の計算結果はイメージと大きく違う可能性があります。
転職先を比べるときは年収。
就業促進定着手当を確認するときは制度上の賃金日額。
この二つを分けて考えることが大切です。
就業促進定着手当はいくら?2025年4月から上限20%に変更
支給額は基本的に、
(離職前の賃金日額-再就職後6カ月間の賃金日額)×再就職後6カ月間の賃金支払基礎日数
で計算します。
ただし、この式で出た金額を無制限に受け取れるわけではありません。
2025年4月1日以降に再就職した人については、支給上限が「基本手当日額×再就職手当支給前の支給残日数×20%」へ引き下げられました。
2025年3月31日以前の再就職では、再就職手当の支給率に応じて30%または40%という旧上限が使われていました。
そのため、古い記事にある「最大40%」という情報を、2025年4月以降の再就職へそのまま当てはめないようにしてください。
2026年8月以降の6,745円・5,454円は「一律にもらえる日額」ではない
2026年8月1日現在、再就職手当や就業促進定着手当の計算に使う基本手当日額には、60歳未満6,745円、60歳以上65歳未満5,454円という上限があります。
ここで特に注意したいのが、6,745円を誰でもそのまま計算に使うわけではないことです。
本人の基本手当日額が5,000円なら、原則として5,000円を使います。
本人の基本手当日額が6,745円を超える60歳未満のケースで、初めて上限6,745円が適用されるという考え方です。
また、この6,745円は通常の失業給付における基本手当日額の年齢別最高額とも別です。
2026年8月1日以降の通常の基本手当日額の最高額は、30歳未満7,450円、30歳以上45歳未満8,270円、45歳以上60歳未満9,110円、60歳以上65歳未満7,830円となっています。
制度を自分で試算するときに、
「受給資格者証に8,000円と書いてあるから8,000円×残日数×20%」
と単純計算すると、就業促進定着手当の上限を過大に見積もる可能性があります。
月30万円から28万円になった場合を計算
単純化した例で考えてみましょう。
離職前の賃金日額が1万円、再就職後の月給が28万円、6カ月間の賃金支払基礎日数が183日だったとします。
月給制として計算すると、
28万円×6カ月÷180=約9,333円
です。
離職前との差は約667円なので、
約667円×183日=約12万2,000円
が、まず賃金差から計算した金額の目安になります。
ただし、ここから支給上限を確認しなければなりません。
たとえば、本人の基本手当日額が6,745円以上で、60歳未満の上限6,745円が適用されると仮定し、再就職手当を受ける前の支給残日数が60日だった場合、
6,745円×60日×20%=8万940円
です。
この例では、賃金差から計算した金額が約12万2,000円でも、支給額は上限の8万940円までとなります。
反対に本人の基本手当日額が5,000円なら、
5,000円×60日×20%=6万円
が上限です。
ここが、「6,745円は全員共通の計算額ではなく、あくまで上限」という最も大切なポイントです。
2025年の20%への縮小で、所得補填としては以前より小さくなった
制度改正の意味も押さえておきたいところです。
厚生労働省は、就業促進定着手当について制度そのものは残しつつ、2025年度から支給上限を一律20%へ引き下げました。背景には、人手不足が進む中で、賃金低下を伴う再就職へ従来ほど強いインセンティブを付ける必要性が低下したという政策判断があります。
私は、この改正によって「転職後の収入減を埋める制度」として期待できる金額は、旧制度より保守的に見積もる必要が強まったと考えています。
月給が5万円下がれば、1年間では単純計算で60万円の差です。
それに対して就業促進定着手当は一時金であり、さらに20%という上限があります。
「この手当があるから大幅な年収ダウンでも問題ない」と考えるのではなく、受給できたら家計のクッションになる程度に資金計画へ置いておくほうが安全です。
就業促進定着手当の申請方法と期限は?
就業促進定着手当は、自動的に振り込まれる給付ではありません。
再就職から6カ月経過後に、自分で申請手続きを行う必要があります。
雇用保険法施行規則では、再就職日から6カ月目に当たる日の翌日から起算して2カ月以内に、就業促進定着手当支給申請書などを管轄の公共職業安定所へ提出することとされています。
主に準備するのは、
- 就業促進定着手当支給申請書
- 雇用保険受給資格者証など
- 再就職後の賃金を確認できる賃金台帳や給与明細
- 賃金支払基礎日数を確認できる出勤簿やタイムカードなど
です。
会社側に記入や資料準備を依頼する部分もあるため、6カ月経過後に慌てて探すより、人事・総務へ早めに確認しておくと手続きが進めやすくなります。

原則2カ月以内だが、過ぎても2年の時効前なら申請できる場合がある
「申請期限を1日でも過ぎたら終わり」と思っている人もいるかもしれませんが、現在の扱いは少し違います。
厚生労働省は、雇用保険の給付金について、原則の申請期限を過ぎても2年の時効が完成するまで申請できると案内しており、その対象には就業促進定着手当も含まれています。
就業促進定着手当については、通常の申請期限が再就職後6カ月を超えて雇用された日の翌日から2カ月以内、時効はその基準日から2年間です。
ですから、原則の2カ月を過ぎたからといって、自己判断ですぐ諦める必要はありません。
ただし、時効ぎりぎりまで待つメリットもありません。
給与資料や勤怠資料の確認に時間がかかることもあるため、基本は2カ月以内に申請し、すでに期限を過ぎている場合はできるだけ早く管轄ハローワークへ相談しましょう。
提出方法や電子申請の利用可否、添付書類の扱いは変更される可能性もあるため、実際の申請時には管轄ハローワークや最新の手続案内で確認してください。
「転職で給料が下がった補助金」と間違えやすい制度は?
検索すると、就業促進定着手当以外にも「基本手当」「教育訓練給付」「キャリアアップ助成金」などが出てきます。
ただし、名前に「給付」「助成金」と入っていても、転職後の給与差を本人へ支給する制度とは限りません。
キャリアアップ助成金は、非正規雇用労働者の正社員化や処遇改善などに取り組む事業主を支援する制度です。
転職者本人が「給与が下がったのでキャリアアップ助成金を申請する」という仕組みではありません。
基本手当、いわゆる失業給付も目的が違います。
基本手当は失業中の生活と再就職活動を支援する給付であり、すでに再就職した人の給料差を毎月補填する制度ではありません。
そのため「転職したら給料が下がった」という人は、制度名を次々に検索するより、
基本手当の受給手続きをしたか → 再就職手当を受給したか → 同じ再就職先で6カ月働いたか → 賃金日額が下がったか
の順番で確認するほうが分かりやすいです。
就業促進定着手当を転職判断でどう考える?
ここからは、若手専門転職アドバイザーとしての私見です。
就業促進定着手当は知っておいて損のない制度ですが、私は転職先の年収を下げる根拠として、この手当を当てにしすぎないほうがいいと考えています。
特に2025年4月以降は支給上限が20%へ縮小されました。
さらに、実際の給与が下がっていても賃金日額の上限・下限によって支給されないケースがあり、6カ月働いた後でなければ最終的な計算もできません。
つまり、転職前の段階では「確実にもらえるお金」として家計へ組み込むには不確定要素が多いんですね。
一方で、給料が下がる転職そのものが悪いとは限りません。
たとえば年収が30万円下がっても、毎月40時間の残業がほぼなくなり、年間休日が増え、片道90分だった通勤が30分になるなら、自分のために使える時間は大きく増えます。
逆に、仕事内容、責任、残業時間、休日、通勤時間がほとんど変わらないのに、年収だけ50万円、100万円と下がるなら慎重に比較したいところです。
私自身、激務だった頃は「今より給料が下がったら生活できない」と思い込み、転職へ踏み出せない時期がありました。
でも本当に比べるべきだったのは額面年収だけではなく、その収入を得るために何時間を仕事へ渡しているのか、転職後も無理なく生活できるのかという部分でした。
転職先を決める前に、
- 想定月収・手取り
- 賞与の有無と算定条件
- 残業代・各種手当
- 昇給・評価制度
- 家賃やローンなどの固定費
- 残業時間・年間休日
- 通勤時間
まで一度並べてみてください。
そして就業促進定着手当については、「なくても生活できる計画を作り、受給できれば転職初期の負担を軽くできる」くらいに考えるのが、私は一番現実的だと思います。
制度上の「同じ会社で6カ月」という条件も、転職先選びのヒントになります。
「内定を取れる会社か」だけでなく、「入社から6カ月後もここで働いていたいと思える会社か」という視点を持って求人票や面接を見ると、焦りだけで会社を決めにくくなります。
今の職場が限界だと、「とにかく早く辞めたい」と思うのは自然なことです。
だからこそ、公的制度は条件を大きく妥協する理由ではなく、次の職場を落ち着いて選ぶための補助線として使ってほしいと思います。
まとめ|転職で給料が下がったら再就職手当の受給状況から確認しよう
転職後に給料が下がった場合、条件を満たせば雇用保険の就業促進定着手当を受け取れる可能性があります。
ただし、単に前職より月給や年収が下がれば対象になる制度ではありません。
基本となるのは、再就職手当を受給していること、対象となった同じ再就職先で6カ月以上雇用されていること、所定の再就職後賃金日額が離職前を下回っていることです。
さらに、賃金日額には上限・下限の扱いがあるため、実際の給与が低下していても制度上の差額が発生せず、支給されないケースがあります。
2025年4月1日以降の再就職では、支給上限は原則として基本手当日額×再就職手当受給前の支給残日数×20%です。
2026年8月1日以降、就業促進給付の計算で使う基本手当日額の上限は60歳未満6,745円、60歳以上65歳未満5,454円ですが、これは全員が使える固定額ではありません。本人の基本手当日額がそれより低ければ、その本人の日額を使います。
申請は再就職から6カ月経過後、原則2カ月以内です。
期限を過ぎた場合でも時効完成までの2年間は申請できる場合があるため、該当しそうなら自己判断で諦めず、ハローワークへ確認しましょう。
そして転職先を決めるときは、手当がいくら出るかだけではなく、手当がなくても6カ月後、1年後に無理なく生活を続けられる条件かまで考えることが大切です。
就業促進定着手当は、年収ダウンを完全に穴埋めする制度ではありません。
制度を正しく使いながら、収入だけでなく労働時間や休日、通勤、働きやすさまで含めて、あなたにとって納得できる転職を選んでくださいね。
よくある質問
転職して給料が下がれば誰でも補助金をもらえますか?
いいえ。
原則として再就職手当を受給し、その対象となった同じ再就職先で6カ月以上雇用され、所定の再就職後賃金日額が離職前より低いことなどが必要です。
実際の月収が下がっていても、賃金日額の上限・下限処理によって制度上の差額が生じず、支給されない場合もあります。
就業促進定着手当の6,745円は全員の計算に使いますか?
いいえ。
2026年8月1日以降の6,745円は、60歳未満について就業促進給付の計算に用いる基本手当日額の上限です。
本人の基本手当日額が5,000円なら5,000円を使い、本人の日額が上限を超える場合に6,745円が適用されます。60歳以上65歳未満の上限は5,454円です。
就業促進定着手当の申請期限を2カ月過ぎたら申請できませんか?
原則の申請期間は、再就職から6カ月を超えて雇用された日の翌日から2カ月以内です。
ただし、雇用保険の給付金は時効が完成するまでの2年間は申請できる場合があり、就業促進定着手当も対象です。期限を過ぎている場合は、できるだけ早く管轄ハローワークへ確認しましょう。


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