転職後の給料は年数だけで一律に上がるものではなく、1年目は賞与、2年目は税・保険料、3年目は昇給制度の影響が見えやすくなります。
1年目=賞与算定期間、2年目=住民税・社会保険料と初回評価、3年目=給与テーブルの実力と整理すると、転職後の給与推移を判断しやすくなります。
結論からまとめると、転職後1〜3年目は次の違いがあります。
- 転職1年目:入社時の基本給と賞与の算定期間が年収を左右しやすい
- 転職2年目:通常賞与や人事評価が始まる一方、住民税・社会保険料で手取りが変わりやすい
- 転職3年目:複数回の評価を経て、その会社で給料が伸びる仕組みが見え始める
なお、「転職1年目なら平均○万円、2年目なら○万円」という転職後の勤続年数ごとの一律な平均給与モデルを示す公的統計は確認できません。
そのためこの記事では、厚生労働省の転職者の賃金変動データと、税・社会保険・企業の賃金改定に関する公的資料を組み合わせ、「なぜ1〜3年目で給料の見え方が変わるのか」を整理します。
こんにちは!転職アドバイザーの夏目結衣です。毎日遅くまでの残業や、しんどい人間関係…本当にお疲れ様です。私もかつて「このままでいいのかな」と悩みながら、限界まで無理をして働いていた時期があるので、そのモヤモヤ痛いほどわかります。このブログでは、キレイごと抜きのリアルな葛藤や、エージェント業界のぶっちゃけ話も交えながら、あなたが自分らしい働き方を見つけるためのヒントを親身にお届けしますね!
「転職したのだから、毎年少しずつ給料が上がるはず」と考えていたのに、2年目の手取りが思ったほど増えなかったり、3年目でも昇給が小さかったりすると不安になりますよね。
でも、銀行口座に振り込まれる金額だけで判断するのは少し早いです。基本給・賞与・総支給額・税金や社会保険料・残業時間を分けることが、転職後の給与を正しく見る第一歩です。
転職1年目の給料はどうなる?賞与と入社条件で年収が変わる
転職1年目の給料で最初に確認したいのは、入社時に合意した給与の中身と、初年度の賞与算定期間です。
中途採用では、経験、職種、専門性、担当業務、役職などを踏まえて個別に給与条件が設定されることがあります。
そのため「月給30万円」という数字だけを見るのではなく、労働条件通知書や雇用契約書で中身まで確認することが大切です。
特に見たいのは次の項目です。
- 基本給
- 固定残業代
- 役職・資格・住宅などの固定手当
- 実際の勤務時間に応じて支給される残業代
- 賞与の有無と算定条件
- 昇給の時期
- 試用期間中の給与条件
たとえば「月給30万円」でも、基本給30万円の会社と、「基本給24万円+固定残業代6万円」の会社では給与構造が違います。
賞与を基本給ベースで計算する会社なら、月給総額が同じでも年間給与には差が出る可能性があります。
転職1年目は賞与が満額にならないことがある
初年度年収で特に見落としやすいのが賞与です。
求人票に「賞与年2回」と書かれていても、入社した年から夏・冬の賞与を両方満額でもらえるとは限りません。
たとえば通常年度の給与が、
- 月給30万円×12カ月=360万円
- 夏賞与30万円
- 冬賞与30万円
で年収420万円になる会社を考えてみましょう。
7月入社で夏賞与の対象にならず、冬も算定期間が短いため20万円だけ支給された場合、その12カ月の給与を単純計算すると380万円です。
つまり、求人時に示された「想定年収420万円」が通常年度のモデルであれば、入社初年度の実際の支給額はそれを下回る場合があります。
ここは転職相談でも誤解されやすいところです。
「年収420万円で転職したのに380万円しかなかった」と感じても、すぐに条件違反と決めつけるのではなく、まず「想定年収がどの期間を前提にした数字だったのか」「賞与の算定期間はどうなっているか」を労働条件通知書や就業規則で確認する必要があります。

転職した人の賃金は実際どれくらい上がっている?
ここで、「そもそも転職すると給料は上がる人が多いの?」という疑問も見ておきましょう。
厚生労働省「令和6年雇用動向調査」では、2024年の転職入職者のうち前職の賃金より増加した割合は40.5%、減少した割合は29.4%でした。厚生労働省
つまり、転職によって賃金が上がる人は確かにいますが、「転職すれば誰でも給料が上がる」と言えるデータではありません。
さらに重要なのは、この統計が転職前と転職直後の賃金変化を見るもので、転職1年目・2年目・3年目を同じ人について追跡した統計ではないことです。
だからこそ、「転職2年目なら平均○%上がる」といった一律の数字を作るより、自分の給与構造を年ごとに追ったほうが現実的だと私は考えています。
転職2年目の給料が下がるのはなぜ?住民税・社会保険料・評価を確認
転職2年目は、額面給与が増えているのに手取りがあまり増えない、あるいは振込額が減ったように感じることがある時期です。
ただし、「給料が下がった」という言葉には2種類あります。
1つは基本給や手当など、会社から支給される総支給額そのものが減ったケース。
もう1つは総支給額が変わっていない、または増えているのに、住民税や社会保険料などの控除が変化して手取りが減ったケースです。
この2つを分けずに考えると、「昇給していない」「転職先を失敗した」と誤認しやすくなります。
住民税は前年所得を基に決まる
給与所得者の住民税は、原則として前年の所得などを基に税額が計算されます。
給与からの特別徴収では、通常は6月から翌年5月にかけて給与から差し引かれます。京都市でも、給与所得者の市民税・府民税・森林環境税について、給与支払報告書などを基に計算した税額を給与から特別徴収する仕組みが案内されています。京都市公式サイト
ここで覚えておきたいのは、「転職2年目だから住民税が必ず上がる」わけではないことです。
前年所得が増えれば翌年度の住民税負担が増えることがありますが、前年に離職期間が長かった、所得が下がった、所得控除の状況が変わった、といった場合には逆の動きもあり得ます。
たとえば、ある年の7月に転職して年収が上がり、その翌年も同じ給与水準で働いたとします。
翌年度の住民税に前年の所得が反映されることで、月給は変わっていなくても6月以降の給与振込額が変化する可能性があります。
反対に、転職前後に長い離職期間があり前年所得が少なければ、転職後しばらくは住民税が比較的小さく見える場合もあります。
そのため、6月前後で手取りが変わったら、基本給と一緒に住民税欄を確認するのが実務的です。
社会保険料も途中で変わることがある
健康保険や厚生年金保険の保険料にも、給与振込額を変える要因があります。
日本年金機構によると、標準報酬月額の定時決定では、原則として4月・5月・6月の報酬を基に標準報酬月額を決定し、新しい標準報酬月額を9月から翌年8月まで適用します。年金機構+1
さらに、昇給や降給などで固定的賃金が変わり、一定の条件を満たすと「随時改定」が行われます。
日本年金機構では、要件を満たした場合、変更後の給与を初めて受け取った月から数えて4カ月目の標準報酬月額から改定されると説明しています。年金機構
つまり、月給が増えたとしても、その増加分がすべて手取りとして残るとは限りません。
昇給後に社会保険料の算定基礎となる標準報酬月額が変われば、額面給与と手取りの増え方には差が生じます。
転職2年目は「通常賞与」と「最初の評価」が入りやすい
一方で、2年目は年収が増えやすい要素もあります。
1年目の賞与が算定期間不足で一部支給だった人なら、2年目に初めて通常の夏・冬賞与を受け取れることがあります。
先ほどの例なら、1年目が、
月給30万円×12カ月+冬賞与20万円=380万円。
2年目に月給30万円のままでも、
月給30万円×12カ月+夏30万円+冬30万円=420万円。
となり、基本給が上がっていなくても年間の総支給額は40万円増えます。
逆に1年目だけ入社一時金や特別手当があった場合、2年目にそれがなくなって年収が下がるケースもあります。
ですから、1年目と2年目の年収差=昇給額ではありません。
賞与、残業代、一時金などを外し、「基本給そのものがいくら変わったか」を見る必要があります。
2年目なのに昇給しないのは評価期間の問題もある
「転職して1年以上経ったのに基本給が上がっていない」という相談では、私はまず評価期間を確認します。
たとえば4月に給与改定する会社へ前年10月に入社した場合、最初の4月時点では在籍半年ほどです。
会社の制度によっては評価対象期間が足りず、昇給対象外になったり、限定的な評価になったりすることがあります。
この場合、「勤続1年半なのに昇給は1回もない」という状況でも、必ずしも給与制度上おかしいとは限りません。
転職後は勤続年数だけではなく、「何回評価を受け、そのうち何回が給与改定に反映されたか」を見るほうが実態に近いです。
私が相談を受けるときも、「手取りが減りました」という話だけで判断せず、給与明細の基本給、住民税、健康保険料、厚生年金保険料、残業代を分けて確認するようお伝えします。
それだけで「昇給していない」のか「昇給したけれど控除も増えた」のかが見えることがあるからです。
転職3年目の給料はどうなる?給与テーブルと昇給の実力が見え始める
転職3年目になると、入社時の条件ではなく、その会社に在籍した結果として給与がどう伸びるのかを判断しやすくなります。
1年目は賞与算定期間などの特殊要因があり、2年目は最初の評価や税・社会保険料の変化が重なります。
3年目では複数回の評価を経験する人も増えるため、「成果を出したときに基本給へ反映される会社なのか」が少しずつ見えてきます。
確認したいのは次の5点です。
- 1年目から基本給はいくら増えたか
- 評価によって昇給額に差があったか
- 等級や役職が上がる条件は明確か
- 賞与は業績・個人評価とどう連動するか
- 年収増加のうち残業代がどれくらいを占めるか
年収だけを見ると、ここを見誤ります。
たとえば1年目400万円、3年目430万円になっていても、増えた30万円の大部分が残業代なら、「会社の給与テーブルによって待遇が30万円改善した」とは言えません。
反対に年収が410万円程度までしか増えていなくても、基本給が上がり、年間残業時間が大きく減っているなら、働く時間まで含めた条件は改善している可能性があります。

2025年の企業全体では賃金改定率4.4%
給与の伸びを考える参考として、厚生労働省「令和7年 賃金引上げ等の実態に関する調査」もあります。
同調査では、1人平均賃金の改定額は13,601円、改定率は4.4%。「1人平均賃金を引き上げた・引き上げる」とした企業割合は91.5%、定期昇給を「行った・行う」とした企業割合は76.8%でした。厚生労働省+1
ただし、ここは数字だけ独り歩きさせないことが大切です。
この調査は転職3年目の社員だけを対象にしたものではなく、常用労働者100人以上を雇用する一定の民営企業を対象にした企業調査です。厚生労働省
したがって、「転職3年目なら4.4%昇給する」「月給が13,601円上がる」という意味ではありません。
ベースアップ、定期昇給、人員構成など複数の要因が企業平均には含まれます。
平均値は世の中の賃金環境を見る材料にはなりますが、自分の3年目給与を予測する数字としてそのまま使うのは難しい、と考えたほうが安全です。
3年目は「入社時の求人」と「今の求人」も比べる
私は3年目にぜひ追加してほしい視点があります。
それが、自分の社内昇給と、外部の採用市場で提示される給与を別々に見ることです。
たとえば基本給25万円で入社し、3年後に27万円まで上がったとします。
2万円昇給したという事実だけを見れば、給与は確実に改善しています。
ところが、同じ会社が現在、同程度の経験を求める中途採用求人を基本給27万円程度から募集しているなら、外部市場の給与水準も同時に上がっている可能性があります。
だからといって「既存社員が損をしている」と単純には言えません。経験年数、職務、等級、採用難易度など条件が違うこともあるからです。
それでも、社内で給与が上がったかだけではなく、自分の市場価値に対して給与水準がどう動いているかを見るのは、転職3年目以降のキャリア判断に役立つと私は考えています。
転職1年目・2年目・3年目の給与推移はどう比較すればいい?
転職後の給料を比較するときは、手取り額を並べるだけではなく、同じ項目を同じ条件で3年間比較するのがポイントです。
年次 起こりやすいこと 特に確認したい項目
転職1年目 入社条件の影響が大きく、賞与が一部支給になる場合がある 基本給、固定残業代、賞与算定期間
転職2年目 通常賞与・初回評価が反映され、税・社会保険料も変化しやすい 昇給額、年間賞与、住民税、社会保険料
転職3年目 複数回の評価から給与テーブルの特徴が見え始める 基本給推移、等級、評価と昇給の関係
特におすすめなのは、毎年次の4項目を記録しておくことです。
基本給、年間賞与、年間総支給額、年間残業時間。
ここまで残しておくと、「年収は増えたけれど残業代が増えただけなのか」「固定給そのものが伸びたのか」を判断しやすくなります。
転職支援をしていると、手取りが数千円減っただけで「会社からの評価が下がったのでは」と心配される方もいます。
でも給与明細を分解すると、基本給は上がっていて、住民税や社会保険料が変わっただけということもあります。
反対に、手取りが増えていても残業時間が大きく増えているケースがあります。
だから私は、給与を見るときに「いくら入金されたか」より先に「基本給はいくらになったか」を見ることをおすすめしています。
転職後1〜3年目の給料から何を判断すべき?
ここからは筆者としての考えです。
転職3年目まで働いたときに確認したいのは、単純な年収額よりも、「この会社で給与が上がる仕組みを自分で説明できるか」だと思っています。
「評価がAなら次の等級に上がりやすい」
「等級が上がると基本給レンジも変わる」
「役職に就けば役職手当が付く」
「賞与は会社業績と個人評価で決まる」
こうした仕組みが見えていれば、現在の給与が理想より少し低くても、数年後のキャリアを考える材料があります。
一方、3年間働いても、
「なぜこの評価なのか分からない」
「何を達成すれば給料が上がるのか分からない」
「仕事と責任だけ増えて基本給はほとんど変わらない」
「上司や人事に聞いても昇給条件を説明してもらえない」
という状態なら、現在の年収額とは別に、キャリアの見通しが立てにくい点を考える必要があります。
私自身、激務と人間関係に疲れて転職を考えていたころは、「あと月1万円上がれば頑張れるかもしれない」と、目の前の給料ばかり気にしていました。
でも支援する側になって強く感じるのは、働き続けられるかを左右するのは「来月いくら振り込まれるか」だけではないということです。
その給料を得るために何時間働き、どんな責任を背負い、次に何を達成すれば待遇が変わるのか。
ここまで一緒に見ることで、ようやく給与とキャリアの関係が見えてきます。
「固定給・労働時間・評価」の3軸で見る
3年間を振り返るなら、私は次の3軸に絞ると分かりやすいと考えています。
固定給の伸び、必要な労働時間、評価との連動です。
たとえば年収400万円から430万円へ増えていても、年間残業時間が200時間増え、その残業代が年収増の大部分を占めているなら、「待遇そのものが大きく改善した」とは単純に評価できません。
逆に年収は400万円から415万円への増加でも、基本給が上がり、残業が年間150時間減ったのであれば、自由に使える時間を含めた働き方は改善している可能性があります。
また、高い評価を受けても基本給や賞与がほとんど動かない状態が何年も続くなら、「評価と待遇がどう結びついているのか」を確認する理由になります。
給与明細は、単に今月の手取りを見る紙ではありません。
自分の仕事・評価・労働時間に対して会社がどのような待遇を設定しているかを、時系列で確認できる資料として使えます。
この見方ができると、「転職2年目なのに手取りが減った」という一時的な変化にも必要以上に振り回されにくくなるはずです。
まとめ
転職1年目・2年目・3年目の給料は、年数に応じて一定額ずつ上がるものではありません。
1年目は入社条件と賞与算定期間、2年目は通常賞与・人事評価・住民税・社会保険料、3年目は複数回の評価を通じた給与テーブルが大きな確認ポイントです。
厚生労働省の2024年の雇用動向調査では、転職入職者で前職より賃金が増えた人は40.5%、減少した人は29.4%でしたが、これは転職後1〜3年目を追跡した数字ではありません。厚生労働省
そのため、自分の転職後の給与を判断するときは「平均なら何円上がるか」を探すより、毎年の基本給、賞与、総支給額、残業時間を同じ条件で並べたほうが実用的です。
2年目に手取りが下がった場合も、まず基本給が下がったのか、住民税や社会保険料などの控除が変わったのかを分けて確認してみてください。
そして3年目では、給与額そのものに加えて、何を評価されれば、いつ、どのように給与へ反映される会社なのかまで確認してみましょう。
その仕組みが分かれば、「今の会社でもう少し経験を積むか」「仕事内容や給与制度について会社に確認するか」「今後のキャリアを見直すか」を、感情だけではなく具体的な材料から考えやすくなります。
よくある質問
転職2年目に給料が下がることはありますか?
ありますが、「基本給が下がった」のか「手取りだけ下がった」のかで意味が違います。
基本給・総支給額が同じでも、前年所得を基にした住民税や標準報酬月額に基づく社会保険料などによって手取り額が変わる場合があります。まず給与明細を前年と並べて原因を切り分けてください。
転職1年目より2年目のほうが年収は上がりますか?
上がる場合はありますが、必ず上がるとは限りません。
1年目の賞与が算定期間不足で一部支給だった人は、2年目に通常賞与を受け取ることで年収が増える可能性があります。一方、残業時間、会社業績、個人評価、一時金の有無などによって年収が横ばいまたは下がることもあります。
転職3年目の給料を見るときに一番重要なのは何ですか?
現在の手取りだけではなく、基本給が3年間でどう増えたか、その変化が評価や等級と連動しているかを見ることです。
あわせて年間賞与、残業時間、現在の同職種の採用条件なども確認すると、社内での昇給と外部市場の賃金変化を分けて考えやすくなります。
参考にした公的資料
- 厚生労働省「令和6年雇用動向調査」:転職入職者の賃金変動状況 厚生労働省
- 厚生労働省「令和7年 賃金引上げ等の実態に関する調査」:賃金改定額・改定率・定期昇給の実施状況 厚生労働省+1
- 日本年金機構「定時決定(算定基礎届)」:4〜6月の報酬と標準報酬月額の決定方法 年金機構
- 日本年金機構「随時改定(月額変更届)」:昇給・降給などに伴う標準報酬月額の改定 年金機構
- 京都市「納税の方法」:給与所得者の個人住民税の特別徴収 京都市公式サイト
夏目結衣
若手専門転職アドバイザー

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