転職しても給料が上がらないのはなぜ?原因と見直すべき条件

年収交渉資料を作成する転職アドバイザーと求職者 未分類

2024年4~6月期にリクルートが実施した調査「転職時の賃金変動状況」で、衝撃的なデータが報告されました。転職後に前職比で賃金が1割以上増えた転職者は、わずか36.1%。残りの約64%は給料が変わらないか減少しているという実態です。

この調査が注目を集める背景には、転職市場の大きな変化があります。かつては「転職=給料ダウン」の方程式が常識でしたが、人手不足時代に突入し、企業側が採用に積極投資する傾向が強まっています。そうした時代だからこそ、給料が上がる人と上がらない人の差が、より鮮明になっているんです。

この記事では、リクルート調査のデータをベースに、給料が上がる転職と上がらない転職の決定的な違いを、転職アドバイザーの実務視点から詳しく解説します。「転職したら給料が上がると思っていたのに…」という後悔をしないために、今からチェックすべき条件をお届けします。

リクルート調査が示す転職市場の変化——36.1%という数字が示すもの

2024年の転職市場は、過去と大きく異なります。リクルートの調査では、賃金が1割以上増えた転職者が過去最高水準の36.1%に達しました。「最高水準」と聞くと明るいニュースに感じるかもしれませんが、裏を返せば、約3人に2人は給料が上がっていないという厳しい現実でもあります。

なぜこんなことが起きるのか。それは、転職市場が「一部の層に有利な市場」に再編成されているからです。

転職で給料が上がりやすい層——20代~30代前半、同業種への転職、スキルが高い人——こうした層の給料は確実に上昇しています。一方、40代以上、未経験職種への転職、市場価値を判断されやすい職種の場合、企業側は「安定採用」を優先するため給料を抑えがちです。

つまり、転職で給料が上がるかどうかは、転職先の選択段階でほぼ決まるということ。感情的に「今の会社を辞めたい」という理由だけで動く人と、「自分の市場価値は何か」を冷静に分析してから動く人では、結果が大きく異なるんです。


給料が上がらない3つの決定的な原因

では、約64%の人たちが給料ダウンまたは据え置きになってしまう理由は、何なのか。大きく3つの原因に分かれます。

①個人の成果・スキルと企業の期待値のズレ

成果主義の企業では「この営業は年間売上がいくら」「このエンジニアはプロジェクト完了数」といった具体的な成果が給与に直結します。転職先の企業が期待する成果に、あなたの実績が届かなければ、給料には反映されません。

これはあなたの能力が低いのではなく、期待と現実のズレなんです。私がアドバイザーとして見てきたケースでは、営業職で年間成約数100件だった人が、転職先で「年間150件のノルマ」を課されて、初年度は120件に留まり、給料が上がらなかったというケースがあります。「前の会社では成績優秀だったのに」という違和感を持ったまま1年過ごすことになるんです。

転職面接の段階で、具体的にどんな成果が求められるのか、それはどのくらいの難易度なのか、をしっかり聞き出さない限り、こうした落とし穴に落ちやすくなります。

※画像はAIによるイメージ

②会社の評価制度と給与体系の曖昧さ

もう1つの大きな落とし穴が、企業の給与体系の構造です。

「勤続年数に応じて昇給する年功序列制度」の企業に転職した場合、前職でのあなたの年数はリセットされ、新入社員レベルの給与から始まります。「役職ごとに給料の幅が決まっている」という企業なら、昇格しない限り、どれだけ頑張っても大幅な昇給は見込めません。

重要なのは、転職前に「この企業では、給料を上げるために何をすればいいのか」が明確に見えているか、という点です。もし面接で「昇給・昇進の基準は?」と聞いて「実績次第ですね」と曖昧な返答なら、その企業は評価制度そのものが不透明である可能性が高い。転職後に「何をすれば給料が上がるのか分からない」というモヤモヤを抱え、結局数年間は給料が変わらないということになります。

③転職先の業界・企業規模選択による年収相場の低下

そして、決定的に重要なのが、転職先そのものの給与水準です。

未経験の業界に進めば新人扱いになって年収が下がる。大企業から中小企業への転職も、企業規模が小さいほど給与水準は低い傾向があります。これは個人の努力では変えられない、転職先選択の問題なんです。

実例を挙げます。私のクライアント事例では、大手メーカーの営業職(年収480万円)がIT業界のスタートアップに転職した際、「未経験」扱いになって初年度年収が360万円に下がったというケースがあります。ただし、ここからが重要。2年目に成果を出して年収520万円まで上昇し、その後さらに大手IT企業に転職した際には、前職実績を評価されて年収650万円からのスタートになったんです。

つまり、短期的な給料ダウンが、長期的なキャリアアップの投資になり得るということ。ただし、これは「戦略的な選択」があった場合です。「今の会社が嫌だから」という感情だけで未経験職種に進むと、単なるキャリアダウンで終わってしまうんです。

※画像はAIによるイメージ

給料が上がる転職の条件——調査データから見える特徴

リクルート調査と実務経験から、給料が上がりやすい人の条件が見えてきました。

年代による差:20代~30代前半が有利

調査では明示されていませんが、実務的には、年代による給料上昇率に大きな差があります。20代~30代前半の層では、同年代の層より成長余地が大きいと判断され、企業側が積極的に投資しようとします。一方、40代以上になると「即戦力」を求められ、期待値が高くなり、わずかな成果不足でも給料に反映されやすい傾向があります。

同業種への転職が最も確実

給料が上がりやすい転職パターンは、同業他社への転職です。スキルがそのまま活かせるため、企業側は「即戦力」と判断し、市場相場に合わせた給料を提示しやすい。

例えば、金融業界の営業職が別の金融企業に転職する場合、前職年収が業界相場より低かった場合、その相場に是正される可能性が高いんです。私のクライアント事例では、地銀営業職(年収390万円)が大手証券会社に転職し、年収520万円でのスタートになったケースもあります。「前の会社は業界の相場より130万円低かった」という判断が企業側で瞬時に下されたためです。

年収交渉ができる人が有利

もう1つの決定的な差が、転職時の年収交渉能力です。希望年収を根拠を持って提示できる人は、企業と話し合える余地が生まれます。一方、何も伝えなければ、企業の都合で給与が決まってしまうんです。

重要なのは「前の会社の年収を基準にしない」ということ。「前の会社が低かったから」という理由で同じ金額を受け入れると、転職の意味がありません。業界相場、あなたの実績、転職先の給与水準をリサーチした上で、「年間成約数150件、顧客満足度9割の実績があるため、この年収が妥当」というように根拠を持って交渉することが大切です。

現職で過小評価されている人は上昇余地がある

意外かもしれませんが、現職で正当に評価されていない人は、転職で大幅な年収アップの可能性があります。同じスキルでも、企業や業界によって評価が変わるためです。私のクライアント事例では、大手企業の企画職(年収420万円、昇進が停滞)が、成長企業の事業企画室に転職して年収580万円になったケースがあります。前の企業では「ジェネラリスト」扱いされていたスキルが、新しい企業では「プロジェクトマネジメント能力」として高く評価されたためです。

※画像はAIによるイメージ

給料が上がる転職を実現するための4つの対策

では、具体的にどうすれば給料が上がる確率を高められるのか。ここが重要です。

対策①:自分の市場価値を客観的に把握する

最初にすべきことは、自分がいくらの価値があるのかを数値化することです。

転職エージェントに相談したり、年収査定ツールを使ったりして、同業他社の中での自分の立ち位置を知ることが大切。例えば「営業職・経験3年・年間成約数100件・顧客満足度9割」という実績があれば、その業界の年収相場はいくらなのか、その実績は相場内か上か下か。こうした客観的な視点があると、交渉時に「自分はこの程度の価値がある」と根拠を持って伝えられます。

対策②:同業種・同職種での転職を優先検討する

給料を上げたいなら、職種は変えず、業界や企業規模を変えるのが最も効果的です。

全く違う業界に進みたい気持ちは分かりますが、その場合、どうしても「未経験者」扱いになって年収は下がりやすい。もし同じ営業職なら、給与水準の高い業界(金融・IT・コンサル)への転職を検討する。または、同じ業界で大手企業に転職する。こうした選択肢なら、既存スキルが活かせるため即戦力として評価され、年収アップにつながりやすいんです。

対策③:転職時に年収交渉を戦略的に行う

多くの人が見落としているのが、転職時の年収交渉の重要性です。希望年収を提示しなければ、採用企業の都合で給与が決まってしまいます。

ここで注意すべきは「現職の年収を基準にしない」ということ。「前の会社が低かったから、同じ金額でいい」という考えはNG。業界相場、あなたの経験・スキル、転職先の給与水準をリサーチした上で、根拠を持って「この金額が自分の価値」と伝えることが大切です。

例えば、手取り30万円(額面約38万円)という目標なら、年収に換算すると約456万円。これは日本の平均年収とほぼ同水準です。「妥当性がある要求」として企業側も真摯に受け止めやすくなります。

対策④:転職先の評価制度と給与体系を徹底的に調べる

会社によって、評価制度と給与体系は大きく異なります。転職前に、面接で次の点を確認しましょう。

成果主義か年功序列か、昇給のルールは明確か、年間何回の昇給・昇進の機会があるか、賞与(ボーナス)の計算方法はどうなっているか。

もし面接の段階で「昇給・昇進の基準が明確でない」と感じたら、その会社では給料が上がりにくい可能性が高い。実務的には、ここで判断を誤ると、転職後に「何をすれば給料が上がるのか分からない」というモヤモヤを3年間抱え続けることになってしまいます。


考察:給料が上がる人と上がらない人の本質的な違い

ここからは、転職市場の現状を筆者としての視点で分析したいです。

リクルート調査で賃金上昇が過去最高水準に達している一方で、約64%が給料据え置きまたはダウンという現実。この状況は、準備と戦略の差が、いかに転職の成否を分けるかを如実に示しています。

「今の会社がつらいから」という感情だけで進める転職活動と、「自分の市場価値は何か」「業界の相場はいくらか」「転職先の評価制度は透明か」を冷静に分析してから臨む転職活動では、結果が大きく異なるんです。

今後の転職市場では、この差がさらに拡大していくと考えられます。人手不足の時代だからこそ、企業側は「投資する価値がある人材」と「リスク回避したい層」を明確に区別するようになります。給料交渉に応じる余力がある企業も増えていますが、同時に「相場を知らない求職者」からは採用コストを抑えようとする企業も増えています。

つまり、給料が上がる転職は、もはや「運」ではなく「準備」で決まる時代になっているんです。自分のスキルを磨き、市場価値を高め、「この人なら採用したい」と思わせるだけの根拠を持った上で、初めて有利な交渉ができます。

また、転職後の給料が想定より低くても、その環境でスキルを磨けば、次の転職でさらに上を目指せます。長期的なキャリアパスの一歩として捉えることで、一時的な給料の上下に過度に落ち込む必要もなくなります。


まとめ:給料が上がる転職は、準備で決まる

転職で給料が上がるのは、約36.1%——リクルート調査が示す現実です。その理由は、あなたの価値が低いからではなく、転職先選択、市場価値の理解、そして交渉準備にあるんです。

現在の転職市場は、一部の層に非常に有利です。同時に、準備不足の人との差が、かつてないほど大きく開いています。自分の市場価値を知り、業界の相場を理解し、転職先の評価制度を調べ、根拠を持って交渉する——これらの丁寧なステップを踏むことで、給料が上がる確率は大きく高まります。

「今の会社にいてもモヤモヤが続く」「給料が上がる見込みがない」と感じているなら、それは転職のサインかもしれません。ただし、転職先はしっかり吟味してください。感情的に「今すぐ辞めたい」という気持ちも分かりますが、その先の5年、10年を見据えた選択をしてほしいです。転職は、あなたのキャリアを大きく左右する決断。だからこそ、準備と戦略を大切にしてくださいね。

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